はじめに
外国人材を受け入れる企業にとって、法律・制度の理解は必須です。
特に技能実習生や育成就労制度に関連する場合、以下の三つの要素は切っても切れません。
入管法(出入国管理及び難民認定法)
労働基準法(労基法)
監理団体制度
これらの制度はそれぞれ独立しているように見えますが、外国人材の受け入れ・就労・生活支援の現場では密接に関係しています。
この記事では、それぞれの制度の役割と、企業が実務上注意すべきポイントを詳しく解説します。
もくじ
入管法の基本と外国人雇用への影響
入管法とは
外国人の入国・在留・退去に関する法律
在留資格の種類(技能実習・特定技能・育成就労など)を規定
外国人の就労範囲・在留期間を管理
外国人材受け入れへの影響
在留資格に応じた業務しか従事できない
不法就労や資格外活動は禁止
企業は在留カードや資格の確認義務あり
ポイント: 入管法は、外国人がどの業務で、どの期間働けるかを規定する法律です。
労働基準法(労基法)と外国人雇用
労基法の基本
賃金・労働時間・休暇・安全衛生など労働条件を規定
日本国内で雇用される労働者に適用(外国人も対象)
外国人雇用におけるポイント
技能実習生も原則最低賃金以上で支払う義務
残業・深夜労働・休日労働に関する規定を遵守
生活指導や安全衛生管理も企業の責任
ポイント: 労働法は「企業が守るべき労働条件の最低基準」を定め、外国人労働者も例外ではありません。
監理団体制度の役割
監理団体とは
技能実習制度における外国人材の受け入れ・管理を支援する組織
企業に代わって法令遵守・生活支援・技能習得の指導を実施
監理団体の主な業務
技能実習計画の作成・入管への提出
実習生の生活指導・相談窓口の提供
トラブル・失踪への対応
企業への指導・監督
ポイント: 監理団体は入管法・労基法を企業が守るための支援者と考えると理解しやすいです。
3つの制度・法律の関係性
| 制度/法律 | 役割 | 企業の責任 | 監理団体の関与 |
|---|---|---|---|
| 入管法 | 在留資格・活動範囲を規定 | 在留資格を確認・遵守 | 資格手続きの支援、計画書作成 |
| 労基法 | 労働条件・賃金・労働時間を規定 | 労働条件の遵守・安全管理 | 生活指導・法令遵守アドバイス |
| 監理団体制度 | 受け入れ企業のサポート・管理 | 受け入れ管理体制の整備 | 実習計画・生活支援・指導・監督 |
ポイント:
入管法で「外国人が働ける範囲」を決定
労基法で「労働条件」を守らせる
監理団体は企業が法律を遵守できるよう橋渡し・管理支援を行う
実務上の注意点
在留資格の確認
入管法違反は刑事罰の対象
入社前・更新時に必ず確認
労働条件の遵守
最低賃金、残業、休日の管理
労働基準監督署の調査対象
監理団体との契約・報告体制の整備
トラブル時の責任範囲を明確化
定期報告・面談・生活支援の実施
記録・証拠の管理
契約書、賃金台帳、出勤簿、生活支援記録
法令遵守の証拠として重要
まとめ
法律と監理団体制度の理解が外国人雇用成功の鍵
入管法:在留資格と就労範囲を規定
労基法:労働条件・安全管理を規定
監理団体制度:企業が法律を遵守できるようサポート
結論として、企業が外国人材を安全・適法に受け入れるには、法律の理解と監理団体との連携が不可欠です。
この三つの制度を正しく理解し、体制を整えることが、トラブル防止と外国人材定着の第一歩となります。