はじめに
日本の人手不足や国際貢献の観点から、外国人材の受け入れが進められています。その中で、技能実習制度は長年にわたり外国人労働者の受け入れの中心的な制度となってきました。
しかし、制度の目的や歴史、導入の背景を正しく理解していないと、
「なぜ技能実習生が必要なのか」
「どのように運用されてきたのか」
「今後の育成就労制度との違いは何か」
といった疑問が生じます。
この記事では、技能実習制度の目的・成り立ち・制度改正の歴史をわかりやすく整理し、企業や支援者が外国人材受け入れを理解するための基礎知識を解説します。
もくじ
技能実習制度とは
技能実習制度は、外国人に日本の高度な技能・技術・知識を習得させ、それを母国で活かしてもらうことを目的として設けられた制度です。
在留資格は「技能実習」
期間は原則1号:1年、2号:2年、3号:2年(最長5年)
受け入れ企業は監理団体を通じて受け入れる
特徴
「単なる労働力の確保」ではなく、技能移転が目的
外国人労働者の生活支援や法令遵守が義務付けられる
技能実習制度の歴史
■制度創設の背景(1993年〜2000年代)
日本の高度経済成長に伴い、人材不足が発生
開発途上国への技術支援・国際貢献の一環として、1993年に制度化
当初は「研修生」と呼ばれる短期研修が中心
ポイント
技能移転が第一の目的
就労ではなく研修色が強かった
■制度拡大期(2000年代〜2010年代)
外国人材の受け入れ企業が増加
制度の対象業種が拡大(製造業、建設業、農業、介護など)
在留期間の上限が拡張され、技能実習1〜3号制度が整備
ポイント
長期的な技能習得が可能に
監理団体の役割が明確化され、トラブル対応や生活支援が義務化
■制度課題と見直し(2010年代後半〜2020年代)
失踪や低賃金などの問題が報道され、制度の信頼性低下
厚生労働省・入管庁による行政指導が強化
労働基準法や入管法の遵守が必須に
ポイント
単なる技能習得の枠を超え、労働者保護・生活支援の重要性が強調された
技能実習制度の目的
期間限定: 最長5年で、3段階に分かれた在留資格
監理団体が関与: 受け入れ企業の管理・支援を行う
法令遵守が必須: 労働基準法・入管法・社会保険などの遵守
生活支援: 寮・生活指導・日本語教育などを提供
今後の制度移行:育成就労制度への展望
2027年に技能実習制度は段階的に廃止され、育成就労制度へ移行予定
育成就労制度では、技能習得だけでなく長期就労・キャリア形成・定着が重視される
企業側は「労働者保護・生活支援・教育体制」を今より一層整備する必要あり
まとめ
技能実習制度の理解が外国人材活用の第一歩
- 技能実習制度は、技能移転と国際協力を目的とした制度
1993年創設以降、制度拡大と改善が繰り返され、2027年には育成就労制度に移行
企業が外国人材を受け入れる際は、目的・歴史・法令遵守・生活支援体制を理解することが不可欠
外国人材の受け入れを成功させるためには、過去の制度の課題を踏まえ、適切な受け入れ体制を整えることが重要です。